Q&A
自己破産をした場合母子手当てに影響はありますか?
1 自己破産をしても基本的に母子手当てに影響はありません
結論から申し上げますと、母子手当て(正確には児童扶養手当)を受給している方が自己破産をしても、受け取る予定の母子手当てが処分の対象になったり、母子手当ての受給が打ち切られてしまうということはありません。
強いて影響があるといえる点を挙げるとすれば、破産手続開始直前に母子手当てが支給され、預貯金が一定の金額を超えてしまった場合には、預貯金が処分の対象になり得るということです。
以下、自己破産の手続きの概要と、自己破産が母子手当てに影響が生じない理由について説明します。
2 自己破産の手続きの概要
自己破産は、原則的には破産管財人が債務者の方の財産を換価処分し、その売却金を債権者への返済に充てたうえで、返済しきれない債務については返済責任を免除する(免責許可)という手続きです。
換価処分の対象となる財産には、売掛金や貸金など、金銭を受け取る権利(債権)も含まれます。
ただし、自己破産をしても、債務者の方の最低限の生活を確保する目的や、政策的な理由により、換価処分の対象とならない財産があります。
そのなかのひとつに、差押え禁止財産(破産法第34条第3項第2号)があります。
3 母子手当ては差押え禁止債権
母子手当てを受け取る権利も法律的には債権の一種となりますが、児童福祉手当法により差押えが禁止されています。
【参考条文】(児童扶養手当法)
(受給権の保護)
第二十四条 手当の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
参考リンク:e-Gov法令検索(児童扶養手当法)
そのため、母子手当てを受け取る権利が換価されてしまうことはありません。
破産手続開始決定がなされた後に受け取る権利が発生した母子手当てについては、そもそも破産手続きの対象になりません。
また、自己破産をしたこと自体を理由に母子手当ての支給を停止するという法律もありません。